解決事例

事例15
被相続人が経営していた株式会社の株式を遺産とする遺産分割調停によって、株式会社の代表取締役を務める他の相続人から持分(遺産分割時点の株価)に相応する価格賠償金を受領した事例

ご相談内容

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依頼主
相続人:Oさん(40代女性)

福岡県在住のOさんの父親(被相続人)は平成19年ころに亡くなられましたが、その後、相続人間で合意の上、被相続人が所有していた不動産を被相続人の長男(Aさん)に移転する登記を行いました。
上記移転登記当時は相続人間でトラブルはなかったのですが、その後、AさんとOさんを含めた他の相続人との間でトラブル(被相続人が亡くなった後にAさんが代表者を務めることになった株式会社(B社)の運営についてOさんらの意見を聞かないこと等)が発生しました。
なお、被相続人の遺産分割は、上記不動産のみは終了していたものの、被相続人が所有していたB社の株式(総株式数の80パーセント)については、遺産分割未了のままになっていました。
そのため、Oさんを含めたAさん以外の相続人は、B社の株式を遺産とする遺産分割を行いたいとのことで、当事務所にご相談に来られました。

弁護士の活動

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当事務所は、Aさんに対して、Oさんらから遺産分割協議を受任した旨の通知を送付し、B社の株価を算出するための資料(決算報告書・勘定科目内訳書等)を開示してほしい旨を連絡しましたが、Aさんからは何の応答もありませんでした。
そのため、当事務所は、遺産分割調停を裁判所に申し立て、調停内でAさんから上記資料の任意開示を受けた後、公認会計士に依頼してB社の株価の算定を行いました。
なお、被相続人が亡くなった時点のB社の株価と現時点での株価には大きな開きがありました(現時点の株価の方が被相続人が亡くなった時点と比較して6倍程度高額でした。)。
そのため、Aさんは、被相続人が亡くなった時点の株価を基準とすべきであるとの主張をされましたが、当事務所は、遺産評価の基準時はあくまで遺産分割時であるとの主張を行いました。

解決結果

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その結果、当事務所の主張する株価を前提として、Oさんを含めたAさん以外の相続人に総額4000万円を支払う旨の調停を成立させることができました。

弁護士のコメント

弁護士 永野 賢二

今回のケースのように、被相続人が亡くなってから長期間経過している場合には、被相続人名義の遺産の評価が被相続人が死亡した時点から大きく変動しているということがあります。このような場合、実務上は遺産の評価の時点は遺産分割時(現実に分割する時点)とすることが通常です(札幌高決昭和39年11月21日参照)。
また、今回のケースに限らず、被相続人が亡くなって長期間経過しているのに名義が被相続人のままで放置されている遺産があるといった場合(経験上は特に不動産に多いように思われます)も多く散見されます。 このような場合は、相続人の数も増えていたり、各相続人の関係も疎遠になっていたりすることで、遺産分割が円滑に進まないことも多いため、弁護士に相談されることをお勧めします。 松本・永野法律事務所では遺産相続に関する相談は初回無料で行っていますので、遺産相続でお困りの方は当事務所にご相談ください。

文責:弁護士 永野 賢二

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