争いのない遺産相続のために、
遺言書の作成をおすすめします
遺言を残しておくことは、日本ではまだ一般的であるとは言えません。ですが、遺言を残しておくことにより、遺言者はご自身の財産を遺産として、ご自身の意思により相続人に分配することができます。
また、法定相続人以外の方に財産を遺贈することなども可能です。そして、何より残された身内・親族の方の、相続に関する無用なトラブルや争いを防ぐことができます。遺言書があれば、遺言者の意思として尊重されるため、その内容が優先されるためです。
しかし遺言は必ず遺言書として書面で残しておく必要があり、その形式に不備などがあれば無効とされてしまう事もあります。さらに、その遺言書は遺言者本人が残したものであることが証明されていなければ、トラブルを起こさないために書いた遺言書がトラブルを引き起こす元になってしまいます。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があり、それぞれに手続きの違いや、メリット・デメリットがあります。また緊急時などに残す「特別方式の遺言」もあります。
遺言書を作成した後には、その遺言書の保管はどうするのか、また遺言の確実な執行のために執行者を選任しておき、そのことも遺言に加えておくことなども検討する必要があります。
今現在元気に過ごされている方にとって遺言を残しておくことは現実感がないことだと思います。
ですが、将来にわたって残された方々が穏やかに過ごされていくことを望まれるのであれば、遺言は残されておくべきものであると我々は考えています。
弁護士法人 松本・永野法律事務所では、遺言書の作成についてのご質問やご相談を随時受け付けております。弁護士だからこそできるトータルサポートをご提供致します。
遺言書の種類
自筆証書遺言
自筆証書遺言は一番手軽に残せる遺言書です。
費用がかからず、遺言を作成したことを秘密にできるなどのメリットが有りますが、死後に遺言書が発見されなかったり、発見者の恣意によって破棄される可能性があるなどのデメリットも有ります。
また自筆遺言証書と認められるためには注意点があり、書き方次第で無効となることもあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は証人2人以上の立ち会いのもと、公証人に作成してもらう遺言書です。
専門家である公証人が作成しますので、内容や方式に不備のない、正確な遺言書を作成することができます。作成した公正証書遺言は公証役場に保管されます。また家庭裁判所による検認の手続きも必要ないため、相続開始後すぐに遺言の内容を実現することができます。
一番確実性が高いと言えますが、公証人へ作成手数料などの費用が発生します。
公正証書遺言の場合、遺言書の作成は公証人が行ないますが、証人として弁護士が立ち会うことができます。
福岡・長崎の相続相談室では、公正証書遺言作成にあたってのご相談や、立ち会い証人の依頼も受け付けております。ご遠慮なくお電話して下さい。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置します。
自筆証書遺言の場合、遺言の内容、遺言書を作成した事自体を秘密にできます。公正証書の場合、遺言書を公証人に作成してもらうため、遺言の内容、遺言書を作成したこと共に公証人と証人2人以上には知られてしまいます。
秘密証書遺言は、封印した遺言公証人と証人2人以上の前に提出して公証してもらうため、遺言の内容は秘密にできますが、遺言書を作成した事自体は知られてしまいます。
特別方式の遺言
死期が迫っている時など緊急時には特別方式の遺言が認められています。
利用されるケースは極めて稀ですが、万が一の為の知識として覚えておかれると良いかと思います。
いずれもケースも相続開始時に家庭裁判所による検認が必要です。
また、普通方式の遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密書式遺言)を行なうことが可能になった時から6ヶ月間生存する時は、特別方式の遺言の効力はなくなります。
遺言書の保管
ご自身で保管する
ご自身で保管するメリットとしては、費用がかからず、遺言のことも秘密にできます。
しかしデメリットとして相続の開始後に遺言書が発見されない可能性や、遺言書の存在を第三者が知っていた場合に、盗難や偽造・改ざんの不安などもあります。
外部に委託して保管する
自宅で保管した場合のリスクを避けるため、外部に保管を委託する方法としては、銀行の貸し金庫に預ける方法や、遺言書管理信託を利用する方法などがあります。
いずれも費用はかかりますが、ご自身で保管するよりも安全・安心に保管することができます。
公証人役場で保管する
「公正証書遺言」であれば、公証人に遺言の作成を嘱託した時に、遺言書の「原本」を公証人役場にて保管します。遺言者本人には「正本」が渡されます。
したがって万が一「正本」の紛失や盗難があったとしても、「原本」が公証人役場に残されていますので安心です。
また現在では全国の公証人役場を結ぶ『遺言検索システム』により、相続が開始された後であれば、相続人などの利害関係者が問い合わせることにより、遺言書の有無と遺言書がある場合にどこの公証役場に保管されているかがわかるシステムになっています。
これにより、遺言の存在が知られないままになることを防ぐことができます。
遺言執行者
遺言執行者は遺言の内容を確実に実行するために選任されます。
遺言の執行自体は相続者自身でも行えますが、「遺言執行者」が選任された場合には、相続人は遺言執行人に従わなければなりません。遺言執行者を選任する場合、遺言者が遺言に遺言執行者を選任して記しておく方法と、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に請求し、家庭裁判所が選任する方法があります。
遺言執行者は、故人(被相続人)が残した遺言による意志を実現させるために、適切に遺言の執行を行ないます。その為、相続人と利害関係のない弁護士をあらかじめ遺言執行者として選任しておけば、争いやトラブルを避けるのに有効であると言えます。
弁護士法人 松本・永野法律事務所では、遺言執行者に関するご相談や、所属弁護士を遺言執行者に選任してのご指名も承っております。まずはお電話にてご相談の予約をお願い致します。