自筆証書遺言は一番手軽に残せる遺言書です。
用がかからず、遺言を作成したことを秘密にできるなどのメリットが有りますが、死後に遺言書が発見されなかったり、発見者の恣意によって破棄される可能性があるなどのデメリットも有ります。
また自筆遺言証書と認められるためには注意点があり、書き方次第で無効となることもあります。
メリット
- いつでもどこでも作成、修正ができます。
- 証人が不要のため、周囲に秘密にしておくことができます。
- 費用がほとんどかかりません。
デメリット
- 家庭裁判所による検認が必要です。
- 紛失したり、発見されない可能性があります。
また、第三者による盗難や改ざん・偽造の恐れもあります。 - 形式に不備があると無効になります。
その他の注意事項・ポイント
- 「遺言書」だとわかれば遺言書としての表題がなくても有効です。
- 縦書き、横書きのどちらでも問題はありません。
- 紙はどのような紙でもいいのですが、コピー紙は経年劣化の可能性があるので、和紙のほうが良いかもしれません。また、例えばチラシの裏などでも有効ですが、下書きだと判断される恐れもありますので、避けたほうが無難でしょう。
- 筆記具の指定もありませんので、筆・万年筆・ボールペンなど、なんでも構いません。ただし鉛筆は変造される可能性が高いので避けましょう。
- 数字はアラビア数字、漢数字のどちらも有効ですが、改ざんを避けるため多角漢数字を用いるのが望ましいです。
- 表現は具体的かつ正確な表記をこころがけます。例えば不動産などは、不動産登記簿謄本の表示に従い記載しましょう。また「管理させる」「使わせる」「任せる」などの表現も所有権か賃借権かが曖昧になります。所有権の譲渡であれば、「相続させる」「遺贈する」と記載しましょう。
- 相続人の特定をしやすいように、相続人の名前には続柄・住所などを併記しましょう。
- 遺言書が複数枚に渡る時は、糊かホチキスで綴じ、契印(割印)を押します。
- 保管については特に決まりはなく、封筒に入れておく必要もありません。しかし偽造・改ざんの防止のためにも、封筒に入れ「遺言書」と記して封入しておきましょう。保管を外部に委託される場合は、銀行の貸し金庫に保管しておくなどの方法があります。