1.相続分とは
相続分とは、正式には法定相続分のことであり、民法で決められた法定相続人が相続するにあたり各像続人の取り分の割合ことです。
死亡した人が、遺言を残していれば、原則として遺言に沿った相続が行われますので、法定相続分は問題になりません。なお、遺言が遺留分を侵害しているか否かを判断するときに法定相続分が問題になります。
遺言がない場合には、遺産分割協議が行われ、相続人間で合意に至れば、その合意内容に従って遺産分割が行われます。
合意に至らない場合には、調停や審判によって遺産分割の方法が決まります。法定相続分は、調停や審判の際の判断基準となります。
2.法定相続人の範囲について
(1)配偶者
死亡した人の配偶者は、常に相続人となります。 なお、配偶者とは戸籍上の配偶者のことを指し、事実婚や内縁の妻は配偶者には含まれません。
(2)子
死亡した人の子は、第1順位の相続人となります。死亡した人の子が既に死亡している場合は、その子の直系卑属(死亡した人からは孫やひ孫等)が相続人になります(代襲相続)。
(3)直系尊属
死亡した人の父母や祖父母(父母の両方が既に死亡している場合)は、第2順位の相続人となります。第2順位の相続人は、第1順位の相続人がいないときに相続人となります。
(4)兄弟姉妹
死亡した人の兄弟姉妹は、第3順位の相続人となります。兄弟姉妹が既に死亡しており、その人に子がいるときは、その子が相続人となります。第3順位の人は、第1順位、第2順位の訴いう続人がいないときに相続人になります。
(5)特例について
相続人は、原則として、死亡した人が死亡した時点で存在している必要があります。しかし、死亡時に胎児で無事に生まれてきた場合には、生まれた子は、死亡時に既に生まれたものとみなされます(民法886条)。
(6)相続放棄について
相続放棄した者は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。また、相続放棄した者の直系卑属について代襲相続もされません(同法887条)。
3.法定相続分(同法900条)
(1)配偶者と子が相続人のとき(1号)
配偶者が2分の1子が2分の1となります。子が複数の場合は、子の相続分2分の1を子の数で等分することになります。
(2)配偶者と直系尊属が相続人のとき(2号)
配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります。