解決事例

事例18
被相続人(母)名義の預貯金から生前に多額の現金出金があることを主張し、相続税申告時の遺産額を約4000万円増額した遺留分侵害額が認められた事例

ご相談内容

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依頼主
相続人:Qさん(70代女性)

福岡県在住のQさんの母親(被相続人)は平成30年に亡くなられ、Qさんを含めた兄弟4名が相続人となりました(被相続人の夫は既に他界していました)。
もっとも、被相続人は、生前に長男であるAさんに全ての財産を相続させる旨の遺言公正証書を作成していました。
そのため、Aさん以外の兄弟3名は、上記遺言によってそれぞれの遺留分を侵害されていることから、自ら内容証明郵便にて遺留分減殺請求権を行使され、その後、遺留分侵害額請求の交渉を代理人として行ってほしいとのことで、当事務所に相談に来られました。

弁護士の活動

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当事務所は、Aさんから受領していた遺産目録(をもとに、被相続人の預貯金に関する生前の取引履歴を調査したところ、被相続人の死亡時までのわずか5年弱の間に総額で7500万円を超える現金出金ないし払い戻しが行われていることが発覚しました。
そのため、当事務所は、生前に被相続人の預貯金を事実上管理していたAさんに対し、上記現金出金の使途を明らかにするよう請求しました。
これに対し、Aさんの代理人弁護士から上記現金出金したお金の使途に関する書面が送られてきましたが、Qさんらの納得いく回答ではなかったため、遺留分減殺請求調停を申し立てました。
上記調停においても、従前の協議と同様に被相続人の生前における預貯金の現金出金の使途が争いになりました。なお、相手方から提出された証拠によれば、出金された現金の使途が明らかなものも多く存在していました。

解決結果

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調停における協議の結果、相手方(Aさん)が自認する遺産総額から約4000万円を増加させた遺産額を基準にQさんの遺留分侵害額を算出することとなり、1400万円の遺留分侵害額を獲得することができました。

弁護士のコメント

弁護士 永野 賢二

今回のケースのように、被相続人が生前に相続人の1人に全ての財産を相続する旨の遺言を残していた場合であっても、各相続人には遺留分があるため、遺産総額を遺留分割合に応じて計算した額(遺留分侵害額)を請求することができます。
また、被相続人の生前に被相続人の預貯金から多額の現金が出金されており、被相続人の生前に財産を管理していた相続人がその使途を説明できないような場合には、今回のケースのように生前の出金額の一部を遺産総額に加えて(法的構成としては、特別受益ないし不当利得返還請求権ということになります。)、遺留分侵害額を計算する方法もありますので、このような場合は是非弁護士に相談されることをお勧めします。 松本・永野法律事務所では遺産相続に関する相談は初回無料で行っていますので、遺産相続でお困りの方は当事務所にご相談ください。

文責:弁護士 永野 賢二

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